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Fickleness~三日坊主~

㊥壱さっくす吹き之ぃろぃろ日誌w

2024.05.19
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2007.01.18


俺はお前を恨んだよ。何度も何度も。

そして、何度も何度も悔やんだよ。

俺がお前にやってしまった見え隠れな真実を──

---------------------

放課後の帰り道。

未麗はプレゼントの中身を開けた。
指の出る黒い手袋だった。
ホットピンクで猫のワンポイントがついていた。

「めっちゃ可愛いじゃん♪♪」
「今年の冬は、それで過ごせるな」

二人は、笑顔を浮かべながらのんびりと歩いていた。



「はぁ・・本当ありがとね、なんか。」

そういうと未麗の目から何滴もの涙がこぼれ落ちた。

「なっ何、泣いてんだよ、いつものことだろ?」

「いやっ手袋、好みの色だったからつい。」

「そっか、よかった」

そういって聡汰は笑った。




少しばかりの沈黙のあと、

「あっこれ」

未麗は一通の手紙を聡汰に渡した。

「えっあっうん」

聡汰は困りながらも気持ちを落ち着かせた。

「ラブレターとかじゃないからね。
 帰ってから、夕方以降に読んでみて。」

「わかった・・って時間決められてんの!?」

「うんっまあ、あんまり深読みしないどいて。
 じゃあ、そろそろ行くから。バイバイ。」

「・・おう。」

そういって未麗は去っていった。
聡汰は、ワケもなくそこでしばらく立っていた。

嗚呼・・裏切者。




その日から、未麗は聡汰の前に現れなくなった。




未麗が・・この世から消えた。
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2006.12.10


うちって何で生まれてきちゃったんだろね・・・

こんな運命になるんだったら

もとからこの世に存在したくなかった・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「行ってきます!」
「いってらっしゃ~い。車に気をつけるのよ~!」
「はーい!」

『バンッ』

これが『最後の行ってきますなんだ・・』と、
重い気持ちを抱えながら、大きく言い歩き出した。

「今日で最後か・・」

由江未麗(よしえみれい)は、この世で生きられるのがあと一日。

少し強めの秋風にショートの髪の毛もゆれる。
秋、枯れ葉がまだ落ちきっていない季節。

【 学校 】

見慣れた学校。見慣れた教室。見慣れたクラス。
未麗(みれい)が見た光景は、いつもの日常と変わらなかった。

「あっ・・なんだ、由江(よしえ)か。」
「なんだ、つまんねー。」
「なんだ、また来たのかよ。」
「未麗、早くプリント持ってってー。」
「うん」

「なんだっ」といわれるのも、もう慣れた。
朝の決まり文句も、すでに日常茶飯事となっている。

「未麗、おはよっ」
「あっおはよ!」

隣りの席の聡汰(そうた)だ。
聡汰は未麗と両思いと噂されている男子であり、
それとは逆にクラスを支配しているボス肌ともいわれている。
どうやら周りは、未麗をクラス全体が軽視するのは、
聡汰の命令だと思いこまれているらしい。
未麗にとって、唯一の話し相手であり友達以上恋人未満である。

聡汰は、そわそわしていた。
未麗は、すぐに感づいた。

「なに?」
「あのさ、今日は未麗の誕生日だろ?
 ってか、毎年交換してっから普通だろうけど、
 年も年だし、今回は、ちょっと値段上げてみた♪」
「本当?聡汰の誕生日、いつもと同じ値段にしちゃったよー。」

そう、今日は未麗の『この世で最後の誕生日』。

「未麗、15歳の誕生日おめでとう!」
「ありがとう♪中開けていい・・?」
「えっ・・マジ照れんだけど。放課後帰るとき開けてみれば?」
「・・そだね。わかった。」

【 授業 】

『キーンコーンカーンコーン』

授業が始まった。
未麗にとって、授業時間ほど無残で辛いものはない。

”はやく出てけ~”
”お前の存在自体がウザイし”
”学校なんか二度と来んな”
”ここはあんたのいる場所じゃないんだよ”

未麗の机に大量のメモが投げ込まれる。

「ぐちぐちほざいてんじゃねえよ、カス。」

毎日のようにいう、未麗の裏の口癖。

「今日も、またか?」

聡汰が静かに呼びかける。

「うん。どいつもこいつも勝手なこと言いやがって、
 誰も助けてくれないし、面倒くさいよ。」
「ごみ出すのも大変だわな、そりゃ。」

二人は苦笑いを浮かべながら鼻で笑った。

「まあね。でも、これも今日で最後だし・・
 今となっちゃいい思い出だよ。多分。」

一つため息をついて、未麗がいった。

「いい思い出とかキモイぞ・・。
 ってか、今日で最後とか何が?」

聡汰が青ざめるような顔で聞く。

「いや、別に何でも。」
「まさか『私、今日で死にま~す』とかいわないしょ?」
「はははっんな、まさか。」

嘘をついた。聡汰のいう通り、未麗は今日で死ぬ。

周りは平然とした空気の中、
未麗の周囲は、思いのほか寒かった。
もうすぐ秋が終わるかのように。
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