Fickleness~三日坊主~
㊥壱さっくす吹き之ぃろぃろ日誌w
2007.01.18
俺はお前を恨んだよ。何度も何度も。
そして、何度も何度も悔やんだよ。
俺がお前にやってしまった見え隠れな真実を──
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放課後の帰り道。
未麗はプレゼントの中身を開けた。
指の出る黒い手袋だった。
ホットピンクで猫のワンポイントがついていた。
「めっちゃ可愛いじゃん♪♪」
「今年の冬は、それで過ごせるな」
二人は、笑顔を浮かべながらのんびりと歩いていた。
「はぁ・・本当ありがとね、なんか。」
そういうと未麗の目から何滴もの涙がこぼれ落ちた。
「なっ何、泣いてんだよ、いつものことだろ?」
「いやっ手袋、好みの色だったからつい。」
「そっか、よかった」
そういって聡汰は笑った。
少しばかりの沈黙のあと、
「あっこれ」
未麗は一通の手紙を聡汰に渡した。
「えっあっうん」
聡汰は困りながらも気持ちを落ち着かせた。
「ラブレターとかじゃないからね。
帰ってから、夕方以降に読んでみて。」
「わかった・・って時間決められてんの!?」
「うんっまあ、あんまり深読みしないどいて。
じゃあ、そろそろ行くから。バイバイ。」
「・・おう。」
そういって未麗は去っていった。
聡汰は、ワケもなくそこでしばらく立っていた。
嗚呼・・裏切者。
その日から、未麗は聡汰の前に現れなくなった。
未麗が・・この世から消えた。
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2006.12.10
うちって何で生まれてきちゃったんだろね・・・
こんな運命になるんだったら
もとからこの世に存在したくなかった・・・
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「行ってきます!」
「いってらっしゃ~い。車に気をつけるのよ~!」
「はーい!」
『バンッ』
これが『最後の行ってきますなんだ・・』と、
重い気持ちを抱えながら、大きく言い歩き出した。
「今日で最後か・・」
由江未麗(よしえみれい)は、この世で生きられるのがあと一日。
少し強めの秋風にショートの髪の毛もゆれる。
秋、枯れ葉がまだ落ちきっていない季節。
【 学校 】
見慣れた学校。見慣れた教室。見慣れたクラス。
未麗(みれい)が見た光景は、いつもの日常と変わらなかった。
「あっ・・なんだ、由江(よしえ)か。」
「なんだ、つまんねー。」
「なんだ、また来たのかよ。」
「未麗、早くプリント持ってってー。」
「うん」
「なんだっ」といわれるのも、もう慣れた。
朝の決まり文句も、すでに日常茶飯事となっている。
「未麗、おはよっ」
「あっおはよ!」
隣りの席の聡汰(そうた)だ。
聡汰は未麗と両思いと噂されている男子であり、
それとは逆にクラスを支配しているボス肌ともいわれている。
どうやら周りは、未麗をクラス全体が軽視するのは、
聡汰の命令だと思いこまれているらしい。
未麗にとって、唯一の話し相手であり友達以上恋人未満である。
聡汰は、そわそわしていた。
未麗は、すぐに感づいた。
「なに?」
「あのさ、今日は未麗の誕生日だろ?
ってか、毎年交換してっから普通だろうけど、
年も年だし、今回は、ちょっと値段上げてみた♪」
「本当?聡汰の誕生日、いつもと同じ値段にしちゃったよー。」
そう、今日は未麗の『この世で最後の誕生日』。
「未麗、15歳の誕生日おめでとう!」
「ありがとう♪中開けていい・・?」
「えっ・・マジ照れんだけど。放課後帰るとき開けてみれば?」
「・・そだね。わかった。」
【 授業 】
『キーンコーンカーンコーン』
授業が始まった。
未麗にとって、授業時間ほど無残で辛いものはない。
”はやく出てけ~”
”お前の存在自体がウザイし”
”学校なんか二度と来んな”
”ここはあんたのいる場所じゃないんだよ”
未麗の机に大量のメモが投げ込まれる。
「ぐちぐちほざいてんじゃねえよ、カス。」
毎日のようにいう、未麗の裏の口癖。
「今日も、またか?」
聡汰が静かに呼びかける。
「うん。どいつもこいつも勝手なこと言いやがって、
誰も助けてくれないし、面倒くさいよ。」
「ごみ出すのも大変だわな、そりゃ。」
二人は苦笑いを浮かべながら鼻で笑った。
「まあね。でも、これも今日で最後だし・・
今となっちゃいい思い出だよ。多分。」
一つため息をついて、未麗がいった。
「いい思い出とかキモイぞ・・。
ってか、今日で最後とか何が?」
聡汰が青ざめるような顔で聞く。
「いや、別に何でも。」
「まさか『私、今日で死にま~す』とかいわないしょ?」
「はははっんな、まさか。」
嘘をついた。聡汰のいう通り、未麗は今日で死ぬ。
周りは平然とした空気の中、
未麗の周囲は、思いのほか寒かった。
もうすぐ秋が終わるかのように。
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プロフィール
HN:
海乃帆立
性別:
女性
自己紹介:
HP開設日:2005年4月18日
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